
こんな方におすすめ
- 複数SaaSにデータが散在し、全社横断の分析・可視化ができずにお悩みの方
- RPAでのデータ連携が保守工数やUI変更で限界を迎え、移行を検討したい方
- 月次レポートの手作業集計が属人化しており、自動化で脱却したい方
- SaaSからDWHへのデータ集約を、どこから始めるべきか知りたい方
こんなことがわかります
- RPAとETL/ELTの役割の違いと、6つの比較軸による使い分けの判断基準
- データ連携にRPAを使うときの構造的な課題(UI変更への脆弱性・データ量の壁・変換処理の限界)
- 小売・広告運用代理・EC・総合商社の4業種に共通する課題と解決パターン
- SaaS→DWH集約を段階的に進める5ステップ(現状棚卸〜運用定着)
- 導入検討に使える10項目のチェックリスト
SaaSの乱立で分散したデータをDWHへ集約する際、RPAとETLのどちらを選ぶべきかを役割の違いから整理します。
4業種の実践事例と段階的な導入5ステップを通じて、自社に合ったデータ集約の進め方をわかりやすく解説します。
EXECUTIVE SUMMARY
エグゼクティブサマリー
企業が利用するシステムの数は平均23.3個に達し、86.9%の企業がSaaSデータの連携に課題を抱えています(出典: BizteX調査 2024年、Sansan調査 2025年10月)。こうした状況下でRPAによるデータ連携が広がりましたが、データ量の増加やSaaS側の仕様変更によって運用が破綻するケースが目立ち始めました。
RPAとETLは解決する問題が違います。UI操作の自動化に強いRPAと、データの抽出・変換・統合を担うETLは、補完関係にある別の技術です。SaaSからDWHへデータを集約する場面では、ETLパイプラインの構築が構造的な解になります。
本ホワイトペーパーでは、RPAとETLの役割の違いを整理し、4業種の実践事例と段階的な導入ステップを通じて、自社に合ったデータ集約の進め方を示します。
CHAPTER 1
なぜ今、SaaSデータの集約が経営課題になっているのか
SaaSの普及がデータの分散をどう加速させたのか。そしてなぜ経営判断のボトルネックになるのか。順を追って整理します。
部門最適が生んだデータサイロ
ここ数年で、企業のSaaS導入は一気に進みました。Sansanが2025年10月に実施した調査によると、企業が利用するシステムの平均数は23.3個に上ります(出典: Sansan「企業のデータ管理に関する実態調査」2025年10月)。営業部門はCRMやSFAを、マーケティング部門はMAツールや広告管理プラットフォームを、経理部門は会計SaaSを、人事部門は労務管理SaaSを、それぞれ独自に選定・導入してきました。
個々の部門にとっては合理的な判断でしょう。自分たちの業務に最も適したツールを選び、業務効率を上げる。ただ、この部門最適の積み重ねが全社レベルでは深刻な問題を引き起こしています。各SaaSにデータが閉じ込められ、部門をまたいだ統合・分析が極めて難しくなっているのです。
図1: SaaSサイロ化の構造図 ― 部門別SaaS導入がデータ分断を生む全体像
数字が示すデータ連携の現実
たとえば月次レポートを作るために3つのSaaSにログインし、CSVをダウンロードし、Excelで突合・加工して、ようやくダッシュボードを1枚更新する。これを毎月、場合によっては毎週繰り返す。担当者が異動すれば手順は属人化し、引き継ぎに苦労する。データの鮮度は落ち、経営判断に必要な情報がリアルタイムで手に入らない。
複数の調査データも、この状況の深刻さを裏付けています。
経営課題としての認識の高まり
こうした状況は、現場の不便にとどまりません。全社横断でのLTV分析、広告投資のROI算出、部門間のファネル可視化――データドリブンな経営判断には、散在するデータを1か所に集約して統一的に扱える基盤が欠かせません。
DWH市場の成長もこの流れを映しています。日本のDWH市場は2033年に約38億米ドルに達すると予測されており、CAGR 9.31%で伸び続けています(出典: IMARC Group「Japan Data Warehousing Market Report 2025-2033」)。SaaSデータの集約先としてDWHを整備する動きは、一部の先進企業だけのものではなくなりつつあります。
CHAPTER 2
RPAとETL ― 役割の違いと使い分けの判断基準
RPAとETLがそれぞれ何を得意とし、SaaSデータの集約でどう違うのかを整理します。
そもそもRPAとは何か
RPAはRobotic Process Automationの略で、人がPC上で行う定型操作をソフトウェアロボットに代行させる技術です。画面上のボタンをクリックする、フィールドに値を入力する、ファイルをダウンロードして保存する。UI操作の再現がRPAの本質です。
日本のRPA市場は2024年度に1,034億円に達し、2025年度には1,183億円に拡大する見込みです(出典: ITトレンド「RPAの市場規模」)。経理部門の請求書処理、人事部門の勤怠データ転記、営業部門のレポート配信など、幅広い業務で使われています。
普及の理由は明確で、既存のシステムを改修せずにUIを通じて業務を自動化できるからです。APIが用意されていないレガシーシステムとの連携や、ブラウザ上での定型入力作業など、人がやっていた操作をそのまま引き継ぐユースケースでRPAは大きな価値を発揮します。
ETL/ELTとは何か
ETLはExtract(抽出)・Transform(変換)・Load(格納)の略で、異なるデータソースからデータを取り出し、分析に適した形に変換して、DWHなどの集約先に格納する処理を指します。近年はELT(抽出→格納→変換)のアプローチも広がっており、まずDWHにデータを取り込み、DWH側で変換処理を行う形です。
グローバルのETLツール市場は2025年の88.5億米ドルから2030年には186.0億米ドルへ成長すると予測されており、CAGR 16.01%という高い伸びを示しています(出典: Mordor Intelligence「Extract, Transform, and Load Market」)。SaaS普及に伴うデータ統合ニーズの拡大がそのまま数字に表れています。
ETLの特徴は、データの中身を理解し、構造的に処理する点にあります。APIやデータベース接続を通じてデータソースにアクセスし、型変換やクレンジング、結合といった変換をパイプラインとして定義する。UIの見た目や操作手順ではなく、データそのものを対象としている点がRPAとの根本的な違いです。SaaS間のデータ統合やDWHへの集約が求められる場面で採用が進んでいるのは、この構造的なデータ処理能力が理由です。
特性比較と適用領域
RPAとETLの違いを6つの軸で整理すると、得意領域がはっきり見えてきます。
| 比較軸 | RPA | ETL/ELT |
|---|---|---|
| 目的 | UI操作の自動化 | データの抽出・変換・統合 |
| 対象 | 画面(ブラウザ、デスクトップアプリ) | API、データベース、ファイル |
| データ形式 | 非構造化(画面上の表示内容) | 構造化(テーブル、JSON、CSV) |
| スケーラビリティ | 画面描画速度に依存、並列処理に制約あり | 大量データの並列・バッチ処理に対応 |
| 運用負荷 | UI変更時にシナリオ修正が必要 | API仕様変更時にコネクタ更新が必要 |
| 得意領域 | レガシーシステム連携、手作業の代替 | SaaS間データ連携、DWH集約 |
図2: RPAとETLの適用領域マッピング ― データ量と定型度による棲み分け
データ連携にRPAを使うときの構造的な課題
RPAでSaaSからデータを取得するアプローチは、短期的には機能します。ブラウザでSaaSにログインし、レポート画面を表示し、CSVダウンロードボタンをクリックし、ローカルに保存する。この流れをロボットに設定すれば、毎日自動で回せます。
ただ、この方法にはいくつかの構造的な課題が伴います。
UI変更への脆弱性
SaaSはクラウドサービスなので、提供元がUIを頻繁にアップデートします。ボタンの位置が変わる、要素のIDが変わる、ページ遷移のフローが改修される。変更のたびにRPAシナリオの修正が発生します。
データ量の壁
RPAは画面操作を逐次的に再現する仕組みなので、数万行・数十万行のデータを扱う場面ではパフォーマンスが落ちます。画面の描画完了を待つ時間がボトルネックになり、処理時間が膨らんでいく。
変換処理の限界
RPAはデータの移動はできても変換は得意ではありません。複数SaaSから取得したデータの型統一、日付フォーマットの変換、マスタテーブルとの結合といった処理は、RPA単体では実装が複雑になりがちです。
これはRPAが劣った技術だという話ではありません。UIベースの定型操作自動化においてRPAは依然として有力なツールです。ただ、SaaSからDWHへのデータ集約という課題に対しては、データを構造的に扱えるETLのほうが適合します。
SaaS型ETLツールの台頭
ETLパイプラインの構築には大きく2つの選択肢があります。AWS GlueやApache Airflowのようなフレームワークで自前構築する方法と、SaaS型のETLツールを利用する方法です。
自前構築は柔軟性が高い反面、開発工数やインフラ運用の負担が大きくなります。SaaS型ETLツールは、主要なSaaSやデータベースへのコネクタがあらかじめ用意されており、ノーコードまたはローコードでデータパイプラインを構築できます。TROCCOはこの領域の代表的なツールの1つで、SaaSコネクタの設定からデータパイプラインの運用・監視までをノーコードで完結できる設計です。
どちらを選ぶかは、自社のエンジニアリングリソースや要件の複雑さ次第ですが、データエンジニアが潤沢でない組織では、SaaS型ETLツールのほうが立ち上がりが早いケースが多いでしょう。
CHAPTER 3
現場で起きていること ― データ集約の課題と解決事例
RPAやExcelベースのデータ集計から脱却し、ETLとDWHの組み合わせで成果を上げた4つの業種の事例を紹介します。いずれも匿名化した上で、課題と解決のパターンを整理しています。
完全版(全4章 + まとめ)の内容
下のフォームからダウンロードいただけます。図表・チェックリスト含む完全版PDFをメールでお届けします。





